読書タイム
No.1
ザ・リストラ
それでも辞めなかったサラリーマンの知恵

 著者 中森 勇人
発行日 2001年3月3日初版
発行所 KKベストセラーズ
http://www.kk-bestsellers.com/

 会社の合併を前提とした計画的なリストラ攻撃に対して1年半もの間抗し続け、とうとう会社側が根負けし、合併後の新会社で現職のまま働き続けている、という思わず”バンザイ!”と喝采を送りたくなるような、元気を与えてくれる本です。
 現在のリストラ攻撃を見ていると、自分は「能力が高い、仕事ができる」からリストラとは無縁と考えているととんでもない落とし穴であることが、わかります。
 個人の能力や業績はまったく考慮なく、会社が「その事業はやめる」と決めたとたんに、該当事業に携わっている労働者はすべてリストラ対象になってしまいます。
 この著者も途中入社ではありますが、率先して新製品の開発を手がけ、お客からも厚い信頼を得ている人です。いわば会社に多大な貢献をしている人でした。
しかし、リストラ対象リストにのったとたんに、本人に責任のない過去の不手際を持ち出して「お前は、能力がない、会社に迷惑をかけた、お前の働くところは、この会社にない」と労働者としてのプライドをズタズタにするような攻撃をしてきました。NECでも同じようなことが行われていますね。リストラ攻撃の手法は、どこでも同じですね。
 そういうリストラ攻撃で数百人がやめていく中で、著者ががんばり抜けたのは以下の4点があると思います。

1.本人が、何よりも冷静に対応したこと。
2.家族(奥さん)の暖かい励まし、助言がいつも支えたこと。
3.「労働条件センター」や「弁護士法律相談」など機関を利用したこと。
4.インターネットを利用し、情報公開して、賛同者を増やしたこと。

 本には、著者が体験をもとに”リストラに抗するすべ”のノウハウも紹介されています。

あとはどうぞ、本を買ってお読みください。


[著者紹介]
中森 勇人(なかもり ゆうと)

1964年神戸生まれ。
大阪電気通信大学を卒業後、機械メーカーを経て、大手金属メーカーの子会社へ転職。システムエンジニアとして物の大きさを測る装置を多数世に出す。入社10年目、会社から突然のリストラ宣告を受け、これに抗することを決意。
会社の切り売り、合併の中で数百人の社員が姿を消していった中、「組合なし、人脈なし、訴訟なし」にもかかわらず、ただ一人以前と同じ肩書きのまま生き残り、今も現役で働いている。
http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/

 
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