読書タイム
No.11
これ以上、働けますか?

書名 :これ以上、働けますか?
    労働時間規制撤廃を考える
著者 :森岡孝二、川人博、鴨田哲郎
出版社:岩波書店(岩波ブックレットNo.690)
発行日:<第1刷>2006年12月20日
価格 :480円+消費税
頁数 :本文55頁+資料16頁


【紹介文】
 ”残業代ゼロ!”と言うコピーが効いて、
12月の国会では導入が見送られた「ホワイトカラーエグゼンプション」。
残業代が付かないのはその通りなのですが、
この制度の本当の問題は労働時間の上限を取り払ってしまう事にあります。
夏の参院選後にきっと復活してくるこの制度について、
その経緯や目的、問題点などを簡潔に学ぶうえで、
本書は恰好の1冊と言えます。


【内容紹介】
例えば次の様なことが書かれています。

・ホワイトカラーエグゼンプションとは、1日8時間労働の上限を取り払う制度です。
 だから残業代が付かないと言うよりは、残業という概念自体が無くなります。

・1日8時間労働制は、1日24時間のうち、8時間は労働のために、
 8時間は休息のために、残り8時間は自分のためにと言うフレーズのもと、
 労働者が勝ち取った権利です。
 ILOの第一号条約でも謳われています。

・1日8時間、週40時間労働と言うのは法律で定めた上限であって、
 労働時間がこれより短くとも何ら問題はありません。
 更に「変形労働時間」「フレックスタイム制」「みなし時間制」を組み合わせれば、
 現行制度のもとで十分に弾力的な働き方は可能です。
 だから「自由で」「自律的な」働き方をするうえで、今の制度を見直す必要はありません。

・ホワイトカラーエグゼンプションが導入されても、
 自由な働き方が助長されることはまずありません。
 それは私達の多くが業務量を自らの裁量で決められないからです。
 かえって今以上の過酷な長時間労働に駆り出される危険が大です。

・今以上の長時間労働は、メンタルヘルスを含めた健康問題にも
 重大な影響を及ぼすと心配されます。
 しかも働くのは個人の「自由」ですから、過労死しても自己責任です。

・今でさえ子育て期の労働者の長時間労働が問題になっていて、
 これが少子化の重大な原因と言われています。
 ホワイトカラーエグゼンプションは、この傾向を強めると考えられます。

・長時間労働は、個人の自由や家庭生活や社会への参加を阻害します。
 労働基準法第一条に謳われる「人たるに値する生活」を破壊するものです。

・今の労働基準法がブルーカラーを基準に作られたと言うのは嘘です。

・そもそも、ここで言うホワイトカラーの定義って何?


【著者紹介】
森岡孝二(もりおか・こうじ)
1944年生まれ。
関西大学経済学部教授。
株主オンブズマン代表。

川人博(かわと・ひろし)
1949年生まれ。
弁護士。

鴨田哲郎(かもた・てつお)
1951年生まれ。
弁護士。
日本労働弁護団幹事長。

(以上、本書より抜粋)

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