ネスレ 遠隔地配転無効  〜神戸地裁判決〜

2005年5月14日

 asahi.comは9日、「介護必要な家族いる従業員への転勤命令に無効判決」と。しんぶん赤旗は10日、「家族介護の2人勝訴 神戸地裁 休業法に則し初判断」というタイトルで、転勤命令を無効として従う義務がないことを認めるとともに、会社側に03年9月以降の未払い賃金の支払いを命じたと報じました。

 記事によると、ネスレは2003年5月姫路工場のギフトボックス職場の閉鎖を一方的に発表。60人の労働者に茨城県霞ヶ浦工場への転勤か退職かを迫り、49人が退職、9人が転勤に追い込まれました。

 ネッスル労働組合の組合員の組合員で病身の妻を介護する男性(55歳)と母親を介護する男性(49歳)は退職にも、遠隔地転勤にも応じられず、姫路工場にとどまらせてほしいと会社に要望。会社は霞ヶ浦工場への転勤を命じました。二人は2003年6月から姫路工場への立ち入りを認められなくなり、やむなく、同年11月、提訴しました。この2年間、毎朝姫路工場に赴き、就労を要求してたたかっています。

 判決は、業務上必要な転勤命令であっても、労働者が通常受け入れるべき不利益を著しく超える場合など特段の事情がある場合には、使用者の権利の乱用となり、転勤命令が無効になるという一般的な判断を示した。
 そのうえで、判決は、原告の家族の状態について、「精神病の妻は家事をすることや単身で生活することは困難。夫の転勤により病状が悪化する恐れがあった」「転勤すれば、要介護状態の母親の介護が困難になったり、病状が悪化したりする可能性があった」などと認定。従業員に著しい不利益を与えるとして、会社側の転勤命令は権利の乱用にあたると結論づけた。また、労働者を配転させる場合、子どもの養育や家族の介護の状況を事業主が配慮する義務を定めた育児・介護休業法26条との関係で、49歳男性に対しては、同法が求める配慮が不十分だったと会社側を批判しました。

 弁護団は、「家族の介護などの理由で配転命令が無効になるのは珍しい。家庭の問題を抱える従業員に、転勤が大きな影響を与えることを認めてくれた意義ある判決だ」と話している。
 

なお、ネスレジャパンは、労働者側勝利の判決を不服として、即日控訴しました。
原告二人が所属するネッスル日本労働組合は会社に厳しく抗議。「原告の願いと、控訴するなとの全国から寄せられた要請を踏みにじり、原告と家族を苦しめるネスレの対応は許せない。二人への遠隔地配転を撤回させ、姫路工場での就労を勝ち取るためにがんばる」と述べています。

 抗議ファックスの送付先
  ⇒ネスレジャパン本社(ホセ・ロペス社長)078−230−7100
  ⇒ネスレ姫路工場(下原忠行工場長)0792−32−5404

 激励ファックスの送付先
  ⇒ネッスル日本労働組合078−362−1890

 

 記事詳細は、下記から
  asahi.com
  しんぶん赤旗

 
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