フレックスタイム制”悪用”残業手当実質カット
 労基法違反容疑 労働省が調査へ


 −読売新聞3/11付−



 読売新聞は3/11付け記事で、労働省が日立、東芝など大手電機メーカー数社に対して、来月から労働基準法違反の疑いで立ち入り調査を実施する方針を固めたと報道しました。


 報道によると、これらの社の事務系社員に導入されているフレックスタイム制が、実質的には残業手当が出ない「裁量労働制」となっており、残業時間に見合った残業手当が支払われていないと見られるため。労基法の改正で4月から裁量労働制の適用範囲が広がるが労働省は「問題のある勤務形態を放置すれば裁量労働制骨抜きにされ、サービス残業の温床になりかねない」と指摘している。
 電機業界では富士通が1994年度から「SPIRIT]の名称でホワイトカラー層にフレックスタイム制を導入、日立,NECが続いているとして、この制度は、一定時間だけ残業したものとみなし、「業務手当」の名目で残業手当相当分を支給している。この額は実際の残業時間の多少に関係なく定額であり、労働省は「電機大手の制度はフレックスタイム制の拡大運用による実質的な裁量労働」と見ている。


 電機メーカー各社は、一定の労働時間を超えて働く必要に迫られた社員は、自主申告によりフレックスタイムの対象から外し、残業時間通りの残業手当を払っているというが、従業員からは「一定額の残業相当分といっても月20時間程度分。実際の残業時間は20時間を超えることが多いが、職場では自主申告でフレックスを外してもらう社員など見あたらない」との不満があがっている。


 労働省は、来月から実施する立ち入り調査では賃金台帳や勤務関係書類の提出を求め、@社員から労働時間が適正に申告されているか、A時間外労働に対する割増賃金(残業代)が支払われているか、などを中心に調べるとしているが、こうなると対象者全員の残業実績の記録を残すことが企業の責任になるはずである。労働組合も実態をつかんでいないNECは大丈夫かなと心配になる。


 改正労働法では4月から本社や支社の企画、調査、分析の業務にも裁量労働制を導入できるようになり、対象となるホワイトカラー職場は拡大する。ただ労使双方のの代表からなる労使委員会を設置して導入を決議し、管轄の労基署に届けたうえ、対象者の範囲や労働条件、社員の同意などを取り付ける必要があり、手続きが煩雑になった。


 労働省では「先駆的と評価の高い電機大手の制度が広がって新しい裁量性が骨抜きにされたら、面倒な手続きを嫌う企業の違反行為につながりかねない」と心配しているようだ。


 と紙面から判断するに、労働省はフレックスタイム制を悪用して定時間後の残業時間を適正にカウントせず、実質残業代カットしている電機大手のやり方は、新裁量労働制を正しく運用するにおいて大きな障害となっているので、厳しく指導、是正する。ということではないだろうか。
 NECでも98年のバイタルワーク導入以来、5万円ちょっとの手当で大幅減収になった人がいるのではないでしょうか。この際、几帳面に実質残業時間をつけて、きっちり差額を要求しましょう。

 


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