ELリストラニュース 第2号

 

なぜ分社化!? 表示事業部が突然の独立


2008年6月26日        

NEC&関連労働者ネットワーク

 

 NECELとエルピーダメモリが表示ドライバ事業で合弁会社設立

 

 

株主総会を目前にした6月20日(金)、NECELは表示ドライバICに関わる事業を分離し、エルピーダ

メモリとの合弁会社を設立すると発表しました。予定では9月末に新会社の合併契約を締結し、12月末

に発足させるとのことです。

 エルピーダとの協業の是非についてはひとまず置くとして、おそらく多くの人が疑問に思うのが、「なぜ

分社化&新会社設立なのか?」でしょう。昨年からのリストラでは、合理化のために生産系子会社を統合

して数を減らしてさえいます。なぜわざわざ会社を増やすのでしょうか。この点において、まず不可解と言

えます。また、そもそも半導体製造の外注委託と言うのは、既に多くの製品で実施していることでもありま

す。しかもエルピーダメモリは、広島工場の生産能力にまだ余裕があり、今年3月からはロジック製品の

受託生産を開始しています。したがって表示ドライバの受託生産も歓迎のはずで、合弁会社でなければ

製造を受け付けないなどという理由があるとは思えません。

結局のところ、今回の分社化発表は、不採算部門である表示事業部を本体から切り離すリストラ策を

示すことで、6月26日(木)に開催される株主総会へのネタ造りをしたと見るのが妥当と思われます。

そこで最も心配なのが、新会社に移る約300名の従業員の今後です。分社化には従業員の大量退職

をともなう厳しいリストラがつきものであることは、すでにNFASの事例で何度も経験して来ました。しかも

今回の合弁会社は、NECELの100%出資で無いだけに、事業撤退の際には、より厳しい事態にもなり

かねません。もともと半導体事業にはバクチ的な要素が多分にあり、特に表示ドライバなどの特定用途・

機能に特化して事業を独立させることには、非常に大きなリスクが伴います。今後の従業員の雇用と労働

条件の保証について、会社はきちんと明示すべきでしょうし、労働組合もNECEL内の雇用保障を、今か

ら会社に約束させるべきでしょう。それが出来なければ、分社化そのものを撤回すべきです。

 

 

〜 表示ドライバとは? 〜 

 

表示ドライバICとは、液晶パネルなどの表示系機器を駆動・制御するための半導体です。これには

大きく分けて「大型」と呼ばれるものと「小型」と呼ばれるものがあり、このうち大型は、液晶やプラズマディ

スプレイパネルを使用した大画面テレビなどに使用されます。高電圧に耐えられる半導体である事に特

徴があります。一方、小型は携帯電話の画面制御などに使用されています。こちらは低電圧で動作する

代わりに、必要な機能を全て1チップに搭載するのが一般的で、その分最先端の製造プロセスを使用した

微細加工が求められます。

NECELの表示ドライバ事業は、このところシェアを落としつつあります。特に小型の方は、3年前には

NECELの表示ドライバ売り上げ全体の約1/3を占めていたものが、今では1/5弱にまで減っています。

現在量産している最先端の製品は、加工精度が0.15μm、ウェハーサイズが200mmであり、これは同業

他社に比べてやや遅れていると言われています。また、大型の方は、3年前に世界1位のシェアでしたが、

昨年度は第4位に後退しました。年間売り上げ800億円に達する表示ドライバ事業は、NECELの基幹

事業ではあるものの、その将来の見通しは、かなり厳しいものになっているのが実情です。

 

 

 

 

< ELリストラニュース発行のお知らせ >

 

NECエレクトロニクスのリストラは、今年度もNFASの集約が予定されているほか、各生産基地の人員

削減は継続的に進められており、また、NECマイクロシステムでは人材派遣会社メイテックへの出向計画

もあり、依然として気の抜けない状況が続いています。そこで私たちNEC&関連労働者ネットワークは、

NECエレクトロニクス本体およびグループ会社のリストラへの監視を強化するとともに、職場のみなさまから

寄せられた情報を共有すべく、「ELリストラニュース」を発行することにいたします。各職場で今何が起きて

いるのかを、出来るだけタイムリーにお知らせする事を心がけますので、ぜひともご注目ください。また、

あわせて職場の情報を募集いたしますので、リストラ110番などを通じてご連絡くださいますようお願い申し

上げます。

 

 

 

 

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