第1章 はじめに


 

2007年11月末にNECエレクトロニクス社は、新たなリストラ案を社外発表した。これに対抗すべく、

私たちNEC&関連労働者ネットワークは、直ちに情報収集と分析を行い、今後の展開を予測して活動

を開始した。門前でのビラ配布による訴えは計6回におよんだ。また、これと平行して専用ホームページ

を開設することで、社外から継続的な情報発信を行ってきた。これらの活動が功を奏し、ホームページ

内に設けた「リストラ110番」を通じて、実際に退職勧奨に遭っているグループ社員から相次いで問い

合わせが入って来た。私たちは相談者とコンタクトを取り、各自の事情を伺い、今後取るべき行動につ

いて共に考えたり助言を与えたりすることで、彼らの不安を軽減し、退職を思い止まらせる事に一役買

うことが出来た。また、既に退職願いを提出してしまったものの撤回を望むグループ社員からの相談に

対しては、電機ユニオンとの協力体制を組むことで、これを実現することが出来た。

 この度、2008年3月末の早期退職制度の終了をもって、NECエレクトロニクスのリストラはひと段落

着いたかに見えた。しかしそれもつかの間、子会社のNECマイクロシステムでは、早くも次のリストラと

して、技術系派遣会社への偽装出向とも取れる手法が導入されている。また、各地の生産系子会社

では、生産コストを削減するために、継続的な人件費の削減=人員の削減が最重要施策のひとつとし

て上げられている。まさにNECエレクトロニクスグループはリストラの真っただ中にあり、今後も本体お

よび子会社の各職場で、断続的な「攻撃」に見舞われるものと予想される。

 そこで私たちは、ここで一旦これまでの経緯を総括し、2008年度以降の展開を予測することで、今

後の私たちの活動の方向や具体的な方法論についてアウトラインを構築し、以って今後のリストラに備

えたいと思う。

 本文章の構成として、まず第2章でリストラの概要を説明し、次いで第3章と第4章では、その展開の

様子を「労働組合」「NEC&関連労働者ネットワーク(+電機ユニオン)」の3者に主体を移しながら時

系列で見ていくことにしたい。第5章では、早期退職優遇制度の実際の展開状況を、そして第6章では、

その中でリストラを受けた個人の救済を目的とした私たちの活動の展開を述べたいと思う。以上、ここ

までが事実の確認であり、この後の第7章からは考察に移る。第7章では、今回のリストラの会社にと

っての意味を、会社を取り巻く情勢とも併せて考えたい。第8章は労働組合についてである。そして第

9章は今後の展開の予測である。ここで今後起こりうるリストラの態様を想定したいと思う。そして第

10章ではNEC&関連労働者ネットワークとしての対抗策について論じたいと思う。

 

           

 

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