第4章 NEC&関連労働者ネットワークの活動(1)


 

1.リストラ発表直後

 

 NEC&関連労働者ネットワークはNECELのリストラがマスコミによって報道された直後から、前期黒字計上している中でのリストラ策であり、周到に準備されたなかで発表されたものと受け止め、正しい情報の収集に努めた。

 その結果、3年前に、確たる理由もなく分社化したNFASが最大のターゲットであり、解散による人員削減を意図したもの。と位置づけ、社会的責任をもった企業として絶対に許されない暴挙であり、労働者に犠牲を強いるリストラ反対の運動を展開することを決定した。

 

2.リストラ反対運動の具体化

 

 2001年のNECリストラ、2004年のNECフィールディングリストラの経験をふまえて運動の具体化を図った。

 

1)職場の仲間に正確な情報を早く伝える

2)経営判断のミスによるリストラ策であり、会社にすべての責任がある。よってリストラによって職場がなくなる場合、NECEL内に配転先を確保させる

3)早期退職は「自己都合」とせず「会社都合」にさせる。

  2001年のNECリストラではNEC&関連労働者ネットワークでハローワークに働きかけ「会社都合」にした経験もある。

4)早期退職の面接で「退職強要」は許さない。辞めさせたい人、辞めさせたくない人のリスト作成を許さない。

5)再就職の厳しい現実を知らせ、一時の気分で「退職」の道を選択させない。

 

具体的行動として専用ホームページの開設、情宣活動の開始を決定した。

 

 

3.専用ホームページの開設

 

 2月6日(水)、「NECエレクトロニクス・リストラ対策」のホームページを開設した。開設後も数日おきに、次々に記事を増やして更新を重ねていった。主なコンテンツは以下の通りである。

 

  1)面接マニュアル

  2)退職強要を跳ね返す6か条

  3)知って役立つ法律

  4)退職強要マニュアル「部長(面談者)の心得」

  5)NECエレクトロニクスのリストラ詳細とNEC&関連労働者ネットワークの見解

  6)「辞めるなキケン!」退職強要をはねかえしたある管理職の体験

  7)中高年の就職活動はつらいよ!再就職活動の体験談

 

 全体のホームページのアクセス数も、この日以降急速に増え始め、その後の2ヶ月間で約1万件のアクセス

があった。これは平時の3倍近い件数である。特徴的なのは、夕方以降の時間帯でも結構なアクセスがある

ことである。これはビラ撒きの当日に会社のパソコンからアクセスする人だけでなく、帰宅後に自宅のパソコン

から繰り返しアクセスされている方が何人もいらした事を想像させる。

 

 

4.情宣活動

 

 2月6日(水)、小雪の舞う生憎の天候の下、相模原事業場の門前にて最初のビラ撒きを実行した。「NEC

EL、NFASは、希望者には全員、相模原事業場に働く場を確保せよ!」と銘打った看板を掲げてELICNEC2008年2月号を配布する宣伝行動を行った。

「退職強要を受けたら、ご相談ください」や「人減らしリストラはやめさせましょう」などのメッセージを乗せてのビラ撒きに、通り過ぎるかなりの社員が手を出して受け取り、関心の強さを感じさせられた。相模原でのビラ配布は玉川ほど頻繁には実施していないが、今年度は12月8日に春闘アンケートのビラを配っていた事も今回の受け取りの良さに影響を与えていたかも知れない。

 翌2月7日(木)には、玉川事業場の門前にて、ビラ配布を実施した。

 

ビラの効果は直ちに現れた。2月8日(金)までに数名の方から、相談をしたい旨の連絡が電機ユニオンに対し入って来たからである。ここから先の展開の詳細は第6章で述べるが、この中にNECマイクロシステム(NMS)の人がいたことで、NMSもリストラの対象職場であった事に気づかされた。そこで翌週の2月12日(火)

にはNMSの小杉ビル前でも、ビラ配布を行った。

 

 第2回目のビラ撒きも、相模、玉川、小杉ビルの3拠点で実行した。特に先の相談者の話によって、

職場で退職強要の行われている実態が明らかになったことから、第2弾のビラは「退職強要が発生!NEC

エレクトロニクスは、約束違反!リストラ案の撤回を!」を主題に、退職強要面接を阻止する内容とした。

 上記1回目と2回目の計6回のビラ撒きで、計6000枚を配布することが出来た。回を重ねる毎にビラの受

け取りも良くなり、およそ6割の人が手に取ってくれたという印象である。こうして、多くのビラに乗せて私たち

の思いを職場に届ける事が出来た。このあと3月末までの間に、リストラ110番などを通じて何人もの方から

相談を受ける運びとなった訳だが、これらについては第6章で書きたいと思う。

 

 

 

 

前ページへ