労働審判で勝利し、雇用延長を勝ちとります  20081222

NEC真空硝子勤務 鈴木喜美子

 

私、鈴木喜美子は、「60才以降も働き続けたい。雇用延長を認めてほしい」と、NEC真

空硝子(従業員325名)を相手にして、横浜地方裁判所へ労働審判の申立てを12月22

日に行います。

 

「改正高年齢者雇用安定法」で安定した雇用を義務化

2006年4月から「改正高年齢者雇用安定法」が施行されて、年金支給開始年齢までの

安定した雇用が義務化されました。「改正高年齢者雇用安定法」は、「原則は希望者全員を

対象とする」ことを求めていますが、次いで、「事業主が労使協定により、継続雇用制度

の対象となる高年齢者の基準を定め、当該基準に基づく制度を導入したときは、継続雇用

制度の導入の措置を講じたものと認められる」ことになっています。

電機大手企業においては、「改正高年齢者雇用安定法」にそって雇用継続の措置が取り入れ

られましたが、「改正高年齢者雇用安定法」の精神である「原則は希望者全員」を軽視し、

「労使協定」にふれる内容を悪用する企業も少なくありませでした。その代表格がNEC

グループです。

 

NECグループの雇用延長制度は、電機大手で最悪

NECグループの雇用延長制度は、55才時点での早すぎる選択など、電機大手企業の中

では、最悪な制度となっています。

最大の問題点の一つは、55才時点で雇用延長を選択させられ、56才から賃金と一時金

が20%カットされることです。年収700万円の場合では、1年間で140万円、60才

までに560万円がカットされます。子どもへの教育費や住宅ローンなどの生計費がかさむ

年代にとっては、生活を根底から脅かすほどの大幅な減収であり、多くの人が選択できない

雇用延長制度になっています。

会社は、雇用延長を選択した人に過酷な減収を強いる一方で、勤務時間や担当業務は、そ

れ以前と全く同じ内容を行わせます。従って、賃金カットされた20%相当分は、全くの

ただ働きといえます。

そのため、NECの雇用延長制度は職場から大きな失望をかい、その利用者は、対象者の

わずか3割程度にとどまっています。

 

恣意的な人事評価で、雇用延長の道を閉ざす

二つ目の問題点は、雇用延長の適用条件に人事評価による選別規定を盛り込んでいること

です。NECでは、「直前2回連続して最低評価者は除く」と対象者を制限しています。さら

に、NECグループ会社では、「標準以上の成績を満たすこと」と改悪され、選別の度合いが

いっそう強まり、会社の恣意的な選定を許す内容になっています。

 

 

 

私は、38年間まじめに働いてきました

私は、1970年4月に入社して以来、欠勤したことは1度もなく真面目に働いており、

担当業務もスムーズにこなしてきました。また、毎年行われる自己申告での上司面接では、

レベルアップがはかれる担当業務を要望してきましたが、多くはスキルアップにつながらな

い業務を与えられてきました。

また、職場環境の改善や労働条件の向上など、働きやすい職場をつくるために、若い時代

から労働組合活動に熱心に取り組んできました。職場で出された要求や声を労働組合の定期

大会では発言してきました。

 

昇給額が400円少なくて、雇用延長を拒否される

私は、雇用延長を希望しましたが、会社は「標準に達していない」と無情にも拒否してい

ます。ここでいう「標準」とは、「56才到達時点における直近で2年連続して昇給額が標準

を下回っていないこと(06年、07年の場合は800円以上の昇給額)」をさし、私の昇給

額は400円でした。

昇給額800円の人が雇用延長できて、400円の人ができない制度とは、いったいどの

ような意味をもつのでしょうか。ちなみに、08年は標準の昇給額は800円で、私のは7

00円でした。

NEC真空硝子では、約50名の女性従業員が働いていますが、主任以上の女性は1名も

いません。このように女性の能力を評価できない、女性差別の根強い会社では、私に対する

評価が正当なものにならないことは明白です。

 

NEC真空硝子は法を遵守し、雇用延長を認めよ

 私は、会社から雇用延長を拒否された現在でも、会社が雇用延長を認め、60才以降も働

き続けることを強く願っています。

以上に述べたように、NEC真空硝子の雇用延長制度は、「高年齢者雇用安定法」の原則に

反する違法的な制度であり、私に対する会社の評価は、女性差別、仕事差別、そして労働組

合活動を理由にした不当労働行為にもとづく不当なものです。その評価をもって、雇用延長

を拒否されることをとうてい認めることはできません。

私は、NEC真空硝子が大企業の社会的責任を果たして、「改正高年齢者雇用安定法」を遵

守し、私の雇用延長を認めることを強く求めていきます。

                            

― 以上 ―