電機懇、NEC労働者懇談会
2006年 春闘アンケート  集計結果

 

 2005年11月から、ELICNECホームページやハガキにて募集してきました、 電機懇、NEC懇2006年春闘アンケートについて、1月21日 の締め切り後の集計結果がまとまりましたので、ご報告します。 集計は、NEC、およびNEC関連会社ではたらくすべての方からの回答をもとに行いました。
アンケートに回答をいただきました方々、ありがとうございました。
2006春闘は、ようやく労働組合が、5年ぶりに重い腰を上げて、ベースアップ2000円を目標に取り組むことを宣言しました。みなさんから寄せられた春闘アンケート結果とは、まだまだおおきな乖離がありますが、一歩前進と言えましょう。さらに大きく要求実現に向かって足を踏み出しましょう。

回答者のプロフィール
正社員が96%

回答者の分布は、正規社員が 96%と圧倒的に多く、昨年比5%アップ。管理職3%と若干昨年より増加しているが、派遣・請負の方は1%へ減少。
このアンケートが「春闘」をタイトルに掲げているため、労働組合に加盟していない、パート、派遣・請負、管理職の方には「対象外」と受け止められているのではないかと思われる。この点の改善が、今後求められる。

30代が44%

回答者の年齢分布は、30−39歳が 44%ともっとも多く、次に 50歳以上、3番目に40−49歳、4番目に25−29歳が続いている。
昨年と比べ、3位と4位が交代したが、年代ごとの比率に大きな変化はない。
 

男性が89%

男女比は、男性 89%、女性11%と男性の方が圧倒的に多い。昨年比では、男性10%アップしている。これは、絶対人数が男性のほうが多いこともあるが、もう少し、女性の回答数がほしいところである。

質問1.あなたの生活実感をお聞かせください。
「生活苦しい」が過半数以上

生活実感の実態は、「かなり苦しい」と「やや苦しい」をあわせると5 7%と過半数を超え、昨年比4%アップで、いっそう生活状態は悪化していることが伺える。
いよいよ労働組合の責任は重くなってきた。今年の春闘で、ベースアップが勝ち取れなければ、労働組合の存在意義が問われることになるだろう。

教育費が一番かかる、40代、50代
に厳しい生活

年齢別生活実感では、40代、50代で「苦しい」が70%を越えている。ちょうどこどもが高校、大学に進む世代で、一番教育費がかかるとき、ベアゼロ春闘や、「成果主義」賃金制度で、給与が頭打ちになり、本当に「困っている」 状況が伺える。
早期に生計費をベースとした賃金体系へ戻さないと、大学へ進学させられない家庭が増え、日本の未来も危うくなることは必然ではないだろうか。

 

質問2.あなたの生活には月額であといくら必要ですか。
7割の人が3万円以上要求

賃上げ要求額は、 「5万円以上」が36%、「3万円」が27%、「4万円」が12%、「2万円」が11%で、高額要求に集中している。昨年集中していた1万円〜3万円 から3〜5万円へ大きくシフト、賃上げへの切実な気持ちが伝わってくるようだ。
今回、労働組合が2,000円のベースアップ要求を宣言したというが、労働者の願いと大きく乖離している。労働組合は、自ら組合員に要求アンケートをとり、その結果に 基づいて、春闘要求額を決めるべきだろう。

3万円以上賃上げが切実な40代、50代

「生活実感」と同様、40代、50代に高額賃上げの要求が高い。40〜49歳ではなんと5割が、5万円以上をあげている。

質問3.06春闘で組合の要求は。
ベア要求が80%

06春闘で、労働組合がベア要求をすべきか、否かについて、聞いたところ、80%が「ベア要求すべき」との回答だった。

生活実感の悪化が、もう限界のところまできたといえるだろう。
労働組合は、今春闘で、安易な妥協はできない状況になってきている。

50代で「ベア要求」が95%以上

「生活実感」の厳しい50代では「ベアゼロでいい」という回答はなく、95%の人が「ベア要求すべき」と回答している。

質問4.(未払い)サービス残業 はありますか。
(未払い)サービス残業 1割以上が「ある」

サービス残業の実態は、「ない」が61%で、昨年より、5%改善されているが、「ある」は13%で、昨年と同率で、決して低い数字ではない。
裁量労働手当て(Vワーク手当て)以上の労働時間が多数と見られる「裁量労働勤務」が 22%ということからして、実態として3割以上がサービス残業あり、の可能性大。

サービス残業時間「ある」の中心は40代、「裁量労働制」の中心は30代

40代では、「ない」が60%、「ある」が20%、「裁量労働制」が17%であり、30代では、「ない」が50%に減り、「裁量労働制」が35%へ増加、「ある」が12%となっている。

サービス残業、若干改善の兆し

サービス残業「ある」と答えた中で、月当たり1〜20時間のサービス残業時間が70%を占め、21〜40時間が16% と、昨年より若干改善状況がみられる。しかし、いまだに80時間以上が5%あり、健康面から、改善が急がれる。

 

Vワーク手当てを超えた残業、
60%も

Vワーク手当て(20H相当)を超えて残業をしている、「裁量労働」対象者は60%にもなっている。

その中でも、Vワーク手当ての2倍以上残業しているのが35%ともなり、Vワークが事実上のサービス残業の温床となっていることが証明されたと言えるだろう。

待遇面、健康面両方から、早期の裁量労働制の「改善」が求められる。

質問5.あなたの健康状態はどうですか。
健康に「不安」が増加

健康状態では、57%が「健康」と答えているが、昨年より「3%後退。変わって「不安」が33%と3%増加している。「治療中」 は昨年と同じ10%だった。

あわせて43%が健康に問題を感じている状態は見逃せないところだ。成果主義による、過密労働のしわ寄せが「健康」に影をおとしている。

40代以上の半数以上が健康に問題あり!

40代、50代の半数以上が、健康面で「問題あり」と感じてい る。中でも50代の15%が「通院治療中」と回答しており、若年時代の無理な労働のしわ寄せが、50代にはいって目に見える形で、現れているといえる。

20代、30代からの健康を配慮した労働環境の構築が必要だ。

質問6.成果主義賃金についてお聞かせください                             
成果主義反対が増加

成果主義賃金に対する評価では、反対が35%と賛成25%を超えている。 これは、昨年に比べ、「反対」が6%増加、「賛成」が4%増加と双方増加しており、これまで「どちらともいえない」と態度表明を明確にしていなかった層が、どちらかに表明することに変わった結果と見える。

その中で、「反対」がいっそう増加したことは、「成果主義」が実際の「成果」を待遇に反映させるものではない。ということが身をもって明らかにされてきた結果であり、「成果主義」への期待感が薄れてきた結果であると、思われる。

40代以上と30代以下で、意識に明確な差

年齢別では、40代以上では、「反対」が多く、30代以下では「賛成」が多い、明確に意識が分かれた。
40代以上は「成果主義」対象でありながら、「成果」が「待遇」に反映されないことを身をもって体験している層で、当然といえる。
20代はまだ「成果主義」対象になっていない層が多く、「期待」感で「賛成」が多いものと思える。
30代は「成果主義」対象の中心であり、現状まだ「賛成」が多いが、徐々に「賛成」「どちらともいえない」から「反対」に変わってきている。

質問7.あなたが困っていること、不安なことは何ですか。(複数回答)
増税、老後・年金に不安

困っていること、不安なことでは、「増税」59%、「老後・年金」56%と他を大きく引き離している。
このことは、今後解決のために、政治への関心が高まることは必死である。
昨年1位、2位の「賃金が低い」「人員削減・リストラ」が3位、4位になっているが、これは、今回の「増税」「老後・年金」が昨年の設問になかったためで、関心が低くなったためではない と思われる。4年続いたベアなし春闘や、手を変え、品を変えて出てくる、「リストラ」に怒りが爆発寸前であるのではないだろうか。

また、その他具体的内容として、いくつか寄せられている。

関心の度合い、40代以上は「集中」、30代以下は「分散」

年齢別に「困っていること、不安なこと」を見ると、40代、50代が「増税」「老後・年金」に集中しており、特に年代があがるほどに、顕著である。
両年代とも、2項目が50%以上を占めている。
逆に20代、30代では、飛びぬけた項目は少なく、「増税」が共通して1位となっている。

<「その他」の具体的内容>
○上司からのいじめ、パワハラ
○会社自体の将来展望
○仕事にやりがいが持てない
○借家に住んでいるが実家が関東のため家賃補助が受けられない事。上京組と比べて能力に差がないのに不公平だと感じる。
○雇用延長の問題が気になります。
○残業の強要、休暇が取りずらいこと
○雇用延長制度について:延長すべきか、60歳以降個別契約コースにすべきか迷っている
○扶養手当がなくなる方向にあること。この手当は過去組合が会社に時間をかけようやく勝ち取ったものであり、扶養家族のベースになった物とおぼえている。一度に削減はひじょうにきびしい。
○リソースの見直しが必要
○子供がニート。いつ就職する気になるか? ・老化の進行(高血圧記憶力など)いままで「蟻」の生活でしたので60歳になったら「キリギリス」になりたいと思っています。まともに肉体が動くのはあと10年でしょうし。
質問8.長時間残業の是正のために必要なことはなんですか。(複数回答)
NECの長時間残業問題は、会社も労組も、打つ手なしで、解決の道さえも示されていない。
そこで今回「長時間残業是正のために必要なことは?」のアンケートを行ったところ、左記の結果が寄せられた。

やはり、NEC内で解決できるだろうという回答が多数を占めた。「無理な予算・計画を組まない」59%、「会社・労働組合が労働時間管理と短縮の取り組みを強める」41%、「採用人員を増やす」29%がベスト3。企業努力で今すぐできること だ。会社はこの意見を真摯に受け止めることが、会社のためにもなることを知るべきではないだろうか。

また、具体的な「提案」も寄せられている。

20代の視点は「無理な予算・計画を組まない」に集中

年齢別に見た場合、特徴的なのは、20代が「無理な予算・計画を組まない」に90%と集中していること。若年層が事業部トップが決めた予算・計画を敏感に感じ取ってい る。だれもが「無理」とわかっている予算を、「決めたから」遂行しなければならない。という理不尽さは、「若いからこそ」より敏感に感じとれるので はないだろうか。これでは、押し付けの「目標達成」に意欲も、やる気も欠いてしまいかねない。
ここのところを、役員や事業部トップは「敏感」に感じとる必要があるかと思われる。

<長時間労働是正についての提案>
○生活のためと仕事が多いことの2つを解決すべき
○長時間労働を規制する制度はあるが、運用がずさんすぎる。
○仕事の進め方の改善、無駄の削除でかなり削減できるはず。
○支出を抑えることだけに目を向けている今の経営陣(社会全体も含め)の考え方を直す必要がある
○定時間退社日が全く機能していない。定時間日は他社(ドコモ、キャノン)のように組合が現場に来て指導してほしい
○業務効率化によるスピードアップが欠かせない.もっと市場の声を取り入れられるような組織作りが必要.
○長時間労働を監視する組織の権力が弱い。本人と管理者の両方ヒアリングすべき。
○法規制が絶対必要、「8時間労働」の国をつくりましょう
質問9.管理職「56歳定年制」や大幅な賃金ダウンを招く「賃金後払い雇用延長」について
「反対」が「賛成」の2.5倍

2005年10月から制度化された「管理職56歳定年制」と2006年4月から実施が決定した「雇用延長制度」。この制度の是非について、質問したところ、「反対」46%、「賛成」17%と、圧倒的に「反対」が多数を占めました。また「条件付賛成」37%でも、かなり厳しい注文がつけられ、実際上、今回制度化された内容では「承服できない」が83%を占めるものになっている。
この事実を会社も労組も認識する必要がある。特に「雇用延長制度」は国の法律が関係する制度で あり、「運用」によっては「違法」となり、社会から糾弾される場合もあるということを認識する必要がある。

 

条件付き賛成 <そのための条件>
○労働時間の選択を認めさせる。
○一日中タバコ部屋で過ごすような人はやはり辞めてほしい。
○労働様式の多様化に進むのであれば賛成
○賃金を56歳時点と同様額にする
○納得できる賃金体系でなら
○60際以降の賃金をもっと上げる。短縮勤務を認める。
○60歳までは現状の待遇(カット無し)、移行は除々に下げる。
○賃金に見合った業務内容や業務時間など
○雇用延長のみ賛成。但し、ある程度の成果を考慮すべき
○仕事内容の変化による賃金ダウンはやむを得ないと考えるが、仕事が変わらずに賃金ダウンすることは反対です
○成果主義であるべき
○一律給与減
○雇用延長は賛成だが、ベースダウンはしないという条件つき
○賃金ダウンはわずかとする
○安心して65歳まで働ける賃金、条件を


 

自由意見

☆教育費や住宅ローンを抱えた50代が賃金ダウンでは生活できない。雇用延長制度選択年齢を選択できることが必要。(NEC・田町・50代・男性)

☆労働組合は組合員の目線で行動をすべきで会社と一緒になって組合員のリストラや中高年を追い出す為に力を貸すのではなく、来年の春闘では、例えベースアップの結果が1円でも良いので、会社と戦ってほしい。もっと職場に来て実態を見てほしい。(メールを発信して、ただ意見をくださいでは駄目)(NEC・田町・50代・男性)

☆仕事にやりがいが持てないので、異動したいと考えている。(NEC・田町・30代・男性)

☆派遣勤務者の社員採用をすすめるべき(NEC・田町・50代・男性)

☆私の家族は子供が既に働いているので、妻と二人暮らしなのでそれほど家計はきつくはありませんが、雇用延長については来年どうするかの判断を迫られるので、どうなるのかが知りたい。(NEC・50代・男性)

☆現状の提案のように低い賃金のまま雇用延長されるのは納得行かない(NEC・田町・50代・女性)

☆組合のやる気のなさにがっかりしている(NEC・府中・30代・男性)

☆皆、周りの人に興味がない。挨拶をしない。いつも意見回収ありがとうございます。(NEC・府中・30代・女性)

☆成果主義について 職場の人間関係が崩れている 「ひいき」がすごい!!(NEC・府中・30代・男性)

☆給与の帯域がアンバランスに思う。格差は広がっているもののそれだけに実感がない。パソコンやコンピュータが普及し、「管理」の仕事は以前以上にらくになっている、責任に関しても各規約で担当まで落としている(責任は担当者が持つことになっている)のに、各管理職層の給与がより高くなっているのに違和感がある。担当が行う業務は増えても給与は上がっていない。男が多いので多数決すれば管理職給与が上がるのは当然だが、この実態は全然能力主義ではなくコネ主義だと感じる。(NEC・田町・40代・女性)

☆管理職も60歳以上の雇用を確保すべき。管理職に残業代がないのは疑問。(NEC・府中・50代・男性)

☆扶養給が少なくなり(2万円→4000円→0円)減税分が増税になり、将来が不安。出向中から帰った場合どこに働く場所があるのか?56歳からの雇用延長は詐欺的内容で(年齢選択コースは)選択できない。(NEC・府中・50代・男性)

☆成果主義なのに56歳から裁量労働制(Vワーク)から外されるのはおかしい。雇用延長の名による一層の搾取が行われようとしている。(労働者の足下をみており、会社のやりかたは汚い)(NEC・府中・50代・男性)

☆生活できる賃金がほしい。60〜65歳の年金減額にどう対処するか悩ましい。また老後をどう過ごすかこれからの課題となりそうだ。60歳から65歳まで働きたくないというのが本音だ!(NEC・府中・50代・男性)

☆1人の賃金で妻と子ども2人で生活している。子どもが大きくなるとお金がかかってくる。春闘に期待している。今後の大増税が心配だ・会社の利益が出ている今、春闘で賃上げしよう。(NEC・府中・50代・男性)
☆一時金が低かったのでせめて春闘で賃上げを要求します。(NEC・府中・50代・女性)

☆裁量労働制になり、最低限の残業しかつかず、残業料が0でも70でも同じ賃金はおかしい。残業の裁量範囲を決めるべきである。単なる残業カットである。(NEC・玉川・30代・男性)

☆長時間労働、業務量に対する人数が完全に不足(人員削減のあおりを受けている)将来設計が困難。成果主義は良いが現在は機能していない(結果は年功の相対評価になっている)(NECエレクトロニクス・玉川・30代・男性)

☆成果主義賃金はそれを評価する人の違いで大きな差が出る。部下の仕事内容をあまり見ていない人がなぜ評価できるのか不思議である。2〜3年前、組合員は強制的にA職とB職に分けられたが、B職になった主任はいきなり年間賞与約40万ダウンとなった(会社からの事前説明無し)。住宅ローン組んでるB職の主任は悲惨な状況です。(NECエンジニアリング・横浜・40代・男性)

☆毎年有給休暇を10日〜5日くらい捨てています。有給休暇切捨て”ゼロ”運動など推進していただければもっと休暇が取りやすくなります。又、夏休みの有給休暇一斉取得と同様に秋休み(新設),正月休みにも、一斉取得が出来るようにしていただきたい。ご検討よろしくお願い致します。(NEC・玉川・50代・男性)

☆残業がないので生活が苦しい。希望:月20時間(NEC・府中・50代・男性)

 
 
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