疲弊する職場 NECは今  No.5

成果主義賃金(下)  業績95%未満はゼロ点           2005.1.11
 

 成果と能力を上司にどうアピールするか、労働組合がセミナーを開講して組合員にそのノウハウについて講義しているといいます。

 上司面談なしも

 「普段から何かあるごとに上司と話し合い、アピールすることが評価につながるという内容でした」というのは、受講した女性社員です。

 組合が毎年セミナーを開催し、成果主義推進の立場で組合員を支援するのは理由があります。成果主義の
運用がうまくいかず、会社側と一体となって立て直しを図ろうとしているからです。

 組合は昨年、NEC最前線の主力職場であるITソリューションとネットワークソリューション職場の組合員約一万四千人を対象にアンケート調査を実施しました。回答したのは約八千七百人(62%)でした。

 若手社員が多く、比較的成果主義の恩恵をこうむっていると思われる職場ですが、成果主義の運用について、肯定的な回答は38%しかなく、半数以上の52%が否定的な回答でした。

 「一時金の個人業績の評価」について、全体の納得率は74%にとどまりました。63%の部署もありました。 一時金の個人成績分の評価は上司との面談によって決まります。驚いたことに、仕事の成果について話し
合うこの面談の実施率が86%にとどまり、十人に一人以上が面談をしていません。「上司が面談をしてくれない」という考えられない苦情が組合に寄せられているといいます。

 組合は「面談を実施するのは上司の責任」としつつも、その責任のいったんは部下の側にもあるとし、こんな注意をうながしています。

 「面談をしないで困るのは、みなさん自身です。上司に自分の業績を正しく理解してもらい、評価してもらうためには、自分から上司に『面談してください』とお願いすることも必要です」”NECの文化”とまで位置づけて取り組んだ2WAYマネジメントですが、 導入後数年で暗礁に乗り上げた形です。

 ある事業部の営業担当者によると、個人業績の評価基準はこうです。受注の目標が100%達成されれば百点、95%で五十点、それ以下だとゼロ点です。ゼロ点というのは個人業績分がゼロ円ということです。いくつかの項目が総合的に評価されるシステムですが、きびしい減点主義が貫かれています。

 減点探しの評価

 70%以下がゼロ点という別の事業部の営業もあり、事業部によってまちまちです。

 「『よくやった』といったプラス評価ではなく、何をやっていないかという減点探しが評価基準になっています。目標をやりとげて当たり前、やらないと減点され評価も下がる。これでは上司との相互理解もできないし、ましてや信頼関係が生まれるはずがありません」と営業担当の社員はいいます。

                                                             (つづく)

 
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