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2009年4月に休止されたフレックスタイム制度。 その後の状況調査として2009年12月に開始しました「フレックスタイム休止 経過確認アンケートについて、多くの回答を寄せていただきました。
ここにアンケートの集計を行いましたので、ご報告いたします。 2010年3月15日 |
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【総括】
一言で言えば、「フレックス休止施策は大いなる失敗だった。」
業務の効率化という口実は、2009年度の業績に反映できず、無残に打ち砕けてしまった。
従業員にとっては、サービス残業時間の増加、生活リズムの悪化。NEC事業所のある近隣住民、他社従業員にと
っては駅の混雑を招き、大いに迷惑をこうむっている。
こうなったからには潔く、元の制度を復活させるしか道はない。フレックス休止を推進した経営陣も労働組合も大いに反省すべきである。
各設問については
『フレックス休止による残業時間』は、休止前の年に比べて「変わらない」「減った」が多く、「増えた」はわずか。
『フレックス休止によるサービス残業の発生』については「定時出勤前」と「休憩時間」「定時
退社時間以降」のサービス残業が特に多く発生している。
『実質サービス残業時間』のフレックス休止以前とあとでは、明らかにフレックス休止後増加している
ことが明らかになった。
『フレックス休止による職場のコミュニケーション』の状況は、フレックスタイム休止が「職場のコミュニケーション改善に効果」というのは誤りであることが判明
。
『フレックス休止による負担』については、「電車・駅の混雑」が1位で、近隣住民や他社の労働者の通勤に多大な迷惑となっている。
『モチベーション』は下がったが圧倒的で、業務遂行への影響も多大だったはず。 それが2009年度の業績に反映している可能性大
。
『フレックス制度が業務の非効率を招いているという会社の指摘について、フレックス休止の結果良くなったか』ということについては、逆に非効率が促進された。
『フレックス休止の真の目的』については、「サービス残業を増やす」、「深夜残業代を減らす」、「裁量労働者を沢山働かせる」がベスト3。
『フレックス休止の評価』は「失敗」「弊害が大きい」が圧倒的。
『フレックス制度は、今後どうなればいいか』については、まず「以前の制度へ戻せ」が
1位。 |
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回答者のプロフィール

職種:技術が62% |

雇用形態:労働組合員が90%と圧倒的 |

年齢:40歳代が一番多く、30歳代、50歳代が並ぶ |

性別:男性が86%と圧倒的 |
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問1 フレックスの休止によって残業時間は、フレックスがある中で残業0化を徹底していた昨年(2008年)下期と比べてどうなりましたか

「変わらない」が33%で1位、減ったと思う(29%)が続く
「増えたと思う」はわずか14% |
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問2 フレックス休止によるサービス残業は発生しましたか。

「朝8:30よりも前の時間が実質的にサービス残業(早出)になっている」が1位(67%)
「休憩時間も働いている」が2位(52%)
「フレックス休止で残業時間の調整が出来なくなり、無理やり0時間にするために定時以降の残業をつけないことがある」(38%)、「今までフレックスで対応していた用件に半日休暇を使うようになり、その分、無給で働いている時間が出来た」(29%)、と続く。
結局「フレックス休止」影響は、サービス残業発生に直結していることが明らか。会社の狙いはここにあり。といったところ、これを、見抜けなかった労働組合の責任は!!
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昨年(2008年)下期の1ヶ月あたりの実質サービス残業時間

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現在の1ヶ月あたりの実質サービス残業時間

2008年度下期と2009年度の実質サービス残業時間を比較すると、明らかにサービス残業が増加していることがわかる。 |
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サービス残業の詳細
職種 |
サービス残業の詳細 |
事務 |
客先へのプロポーザル資料 (田町 40歳代 男性 ) |
スタッフ |
残業0命令で申請しても許可されず、定時以降残れないため、仕方なく休憩時間にやっている。 (本社 30歳代 男性 ) |
朝と夕方の30分から1時間が申請できなくなった。上司が残業として認めなくなった。8時間勤務の中で消化するべきと決めつけられる。
(田町 50歳代 男性 ) |
技術 |
納期に対して守らなくてはならないが、責任の所在が曖昧な業務(結局下っ端が尻を拭く。) (玉川 30歳代 男性 ) |
定時後に開催される「緊急会議」 (府中 40歳代 男性 ) |
緊急の出張準備、資料作成他(業務の自宅への持ち帰りを含めると、さらに労働時間は長い) (玉川 29歳以下 男性 ) |
残業0の規制で、残業できなくなったが、仕事の量が減っていないので、朝8:30前、定時以降、休憩時間など、納期が迫ってくる仕事をしなければなりません。
(田町 30歳代 男性 ) |
休憩時間の労働 (新木場センタービル 30歳代 男性 ) |
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問3 フレックス休止によって職場のコミュニケーションは、量的(頻度や時間など)および質的にどうなりましたか。
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フレックスタイム休止が「職場のコミュニケーション改善に効果」というのは誤りであることが明確。
すべての項目で「変わらない」は一番多く、次いで、「量的・質的に悪化」が多い。
特に「社長・幹部通信のないよう理解」「電子メールを読む・発信する時間」「重要な文書の発行の頻度と質」と重要な項目で「量的・質的に悪化」が多いは注目できる。
一方の「量的・質的に改善」はごくごく少数で、先の重要項目では皆無となっている。
この調査項目でもフレックスタイム休止は、業務の点からも「誤り」であったことを示している。 |
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問4 フレックスの休止で、どのような負担が増えましたか。すべて上げてください。

フレックスタイム休止による負担増については、「電車・駅の混雑」(90%)が一位でNEC事業場がある地域住民および他社労働者へ与えるNECのイメージダウンを招いている。
続いて「生活リズムへの影響」「ストレスの増加」(76%)がつづいており、深刻な生活破壊への兆候を作り出している。
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問5 モチベーションはどうなりましたか。
 
職場のモチベーションについて、「変わらない」45%、「下がった」55%。
自分のモチベーションについて、「変わらない」15%、「下がった」85%。
自分のモチベーションは大幅に下がっているのに、職場は「下がった」の率がそんなに大きくないのが不思議だ。これはきっと「職場のモチベーションは下がってほしくない」という希望の現われではないだろうか。つまりは「会社を思う気持ち」の表れで、経営陣は、この気持ちを汲み取るべきである。社員の気持ちを汲み取った「施策」によってこそNEC再生の道があることを認識すべきである。
そして共通していることは「向上した」という回答が皆無であるということ。この点も十分に認識していただきたい。経営陣が打ち出した「フレックスタイム休止」という施策は誰からも支持されていないことを!
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問6 フレックス制度があることで、朝一斉に社員が揃わないために業務の非効率を招いていると言われていました。特に恒常的に遅い出社をする事がフレックスの不適切な使用と言われ、槍玉に上がっていたと思います。では実際に休止してみて、どのように変わったでしょうか。

フレックスタイム休止による職場の変化については
「だらだら働く人の働き方」が改善されたのはわずかに5%で、変わらずが29%もある。
「まじめな人の能率」が上がったのはわずかに10%で、下がったが71%も。フレックス休止の悪影響が出ている。
「キーマンとの連絡」については、とりやすくなったは0%にくらべ、とりにくくなったは14%とこれまた悪影響。
「職場のモラル」についても向上したは0%で、低下したが24%に。
フレックスタイム休止によって職場は確実に「悪化」している。
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問7 フレックスはなぜ休止されたと思いますか。真の目的と思われるものをすべて選んでください。

フレックスタイム休止の真の目的をどうみているか。
「サービス残業を増やす(71%)、「深夜残業代を減らす」(67%)、「裁量労働者を沢山働かせる」(52%)が1位から3位までで、会社が休止の口実にあげていた「コミュニケーション活性化」はわずかに10%であり。真実はどこにあるのか明確である。
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フレックス休止の目的 その他
職種 |
フレックス休止の目的−その他具体的に |
事務 |
残業がつきにくい早出労働をサービス残業化するため (田町 40歳代 男性 ) |
スタッフ |
労組の力量確認として職場の声の収集内容をどのぐらいできるかを見るため。 (田町 50歳代 男性 ) |
技術 |
NEC矢野社長が自分より遅く出社する社員を見てけしからんと激怒し、フレックスなど休止してしまえと命令したという噂がある。
(玉川 40歳代 男性 ) |
従業員にセルフマネジメント能力やモラルがなかったため。 (本社 29歳以下 男性 ) |
真の目的は1,2と思われるが、副次的に6、7も狙っていたと考える。 (本社 40歳代 男性 ) |
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問8 フレックス休止を評価してください。
フレックス休止の評価は、「弊害が大きかった」(33%)、「失敗だった」(43%)が圧倒的で、「成功だった」はなんとゼロ。
この質問でも、「フレックスタイム休止」施策の失敗が明らかとなっている。 |
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問9 フレックス制度はどうなれば良いと思いますか。

フレックスタイム制度の今後のあり方については、「以前の制度をそのまま復活させる」(38%)が断然の1位で、「制度は基本的に以前の状態に戻すが、業務の効率をより重視した運用のあり方へと改める」(19%)、「以前の制度よりもコアタイムを縮めるなど、よりフレキシビリティを増して復活させる」:(14%)、「以前の制度よりもコアタイムを延長するなど、よりフレキシビリティを減らして復活させる」(14%)と続いている。
この回答から、まず第一に行うべきは、「元に制度に戻すこと」、その後に運用状況を確認しながら、働き方と生活の両面から検討してよりよい制度へ発展させていく。という方向性ではないだろうか。
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フレックス制度はどうなればいいのか 具体的に
職種 |
フレックスはどうなればいいか |
事務 |
フレックスを廃止するのであれば、有給休暇を時間単位(30分刻みや1時間単位)でとられるようになるとかなり助かります。地方公務員や教員も時間単位で取られますよね?
(川尻工場 40歳代 女性 ) |
スタッフ |
フレックスは自由に使えるようにしてほしい (田町 50歳代 男性 ) |
コアタイムを10〜16時に変更してはどうか? (本社 30歳代 男性 ) |
技術 |
これまでのフレックスタイム制度は会議や顧客対応に支障が出ており、業務の効率化やCSに悪影響があった。制度の濫用や、深夜残業も無視できない。例えば管理職による事前承認など、個人の管理能力によらない制度運用が必要である。本当に必要な人間には制度を認めてあげて欲しい。
(本社 29歳以下 男性 ) |
その他 |
フレックスは事実上利用していなかったので、特に問題はない。事前申告が原則なので、この点をちゃんとやって頂きたい。電事故で遅刻しても、フレックスが勝手に適用されたのは不愉快だった。
( 60歳以上 男性 ) |
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問10 フレックス休止に関し、矢野社長にひとこと。
職種 |
矢野社長にひとこと |
事務 |
上記にもありますが、NEC低迷の経営責任をはぐらかしています。それに何より現場の状況を把握していません。朝一斉に揃わないから業務の非効率を招いていると言われていますが、まず、そういう怠慢な社員を放置している上司に問題があるのではないでしょうか?フレックスを休止するより、先にやるべき事があるはずです。
(玉川 30歳代 女性 ) |
スタッフ |
毎日定時で終わる仕事は少ない、フレックス休止により、残業した場合でも翌朝は定時に出社しなくてはならない為に疲れが取れない。また、主任のVワーク対象者は目安の月時間以上残業をしても「超過申請」を出せない状況にあり、実質サービス残業を強いられている為、不満、疲労が蓄積されていると思う
(田町 50歳代 男性 ) |
会社が導入した制度を問題が多いと判断したのであれば休止ではなく中止に何故しないのか?この制度を導入した会社幹部の責任はどのように取るのか?働きやすい職場として社会にアピールしていたころと今とはどこが変わったのか説明されていない。社長の責任はあると思う。
(田町 50歳代 男性 ) |
技術 |
朝(8:00-8:15)の最寄り駅の混雑の酷さを見てほしい。人に優しい会社というが、電車の混雑ぶりや、その最寄り駅を起点にしている地域住民にはちっとも優しい会社には思えない状況が毎日日常となっている。
(府中 40歳代 男性 ) |
激しく混雑する朝の通勤電車に毎日乗って通勤して、その苛酷な状況を実感して下さい。 (玉川 40歳代 男性 ) |
以前の制度の復活や、撤廃だけはやめてほしい。柔軟な制度の設計を頼みます。 (本社 29歳以下 男性 ) |
フレックスを休止する理由を納得感高く説明していただきたいです。現在のような、「職場コミュニケーションの活性化」などの抽象的な主張では、現状のどういった(定量的な)課題をどのように(定量的にどの程度)解決するのか、何も見えてきません。これでは我々社員はモチベーションを保つことすらままならない状態です。何の納得感もない現在のような説明ではなく、(本音で構わないので)たとえば、「サービス残業が○○時間増加し、○○円人件費の削減を見込んでいる」など、定量的に納得できる説明をしていただきたいです。現在、市場が不況なのは誰もが認識している事実であり、この状況で会社を潰したいと考えている社員はいません。取締役とその他社員が同じ方向を向いて、共通の目的である、全社の収益倍増を達成するためにも、本音でお話いただきたいのです。
(玉川 29歳以下 男性 ) |
NECの将来のためではなく、単にあなたの引退する時点でNECが黒字になっているかどうかだけを気にして、フレックスを休止したのではないかと思えます。せめて会長になった後も、通勤電車で定時出社を心がけてください。それ以上の事は何も期待しませんから。
(玉川 40歳代 男性 ) |
グループ社員も大体の状況は把握しております。建前で方針を語られてもモチベーションやストレスが溜まるだけです。もう少し本音で方針を語っていただきたいです。
(新木場センタービル 30歳代 男性 ) |
その他 |
なぜ止めるのか、理由を知りたい。 ( 60歳以上 男性 ) |
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