A はい、おおむねその通りです。
(年次)有給休暇は労働基準法で定められた権利です。
正社員でも派遣でも請負でも、みな取得することができます。
また、特別な事情が無い限り、いつでも取得することができます。
NECグループには、年次有給休暇のほかにも、産前産後休暇、ファミリーフレンドリー休暇、リフレッシュ休暇など、さまざまな休暇制度が用意されています。目的や賃金保障の割合などを勘案して取得してください。
【詳説】
休暇には法律によって定められた法定休暇と、法定外休暇があります。
通常の年次有給休暇や産前産後休暇、生理休暇、子の看護休暇などは、労働基準法や育児介護休業法で定められているため法定休暇です。
これに対し、リフレッシュ休暇やファミリーフレンドリー休暇は、NECが独自に設定している休暇制度であるため、法定外休暇となります。
また、法定休暇であっても、有給休暇の付与日数が法定の20日に対し、NECグループでは22日となっているなど、法定基準を上回っている要素があります。
このようにNECグループの休暇制度は、法定休暇+αの制度となっています。
現在NECグループでは、正社員以外に派遣や請負の方も大勢働いています。
派遣の休暇制度は派遣元の会社の、請負の休暇制度は請負会社の制度にそれぞれ従いますので、NECグループの休暇制度は適用されません。
同じ会社の中で働く以上、とくに派遣社員に対しては、休暇制度など出来るだけ同じ条件に合わせるのが理想であると考えられます。
また、派遣社員の場合、職場が夏季休暇などの長期連休中のときには、一緒に休まざるを得ないことがあると思います。
すると、派遣会社の多くは時間給を採用しているために、無給の休日となる可能性があります。
その期間中の賃金補償のあり方についても、改善されていくべきものと考えます。
(1)年次有給休暇
@休暇付与の条件
年次有給休暇は、労働基準法第39条に定められています。
まず第1項では、休暇付与の条件について規定しています。
「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」
上記の通り、一般には半年間勤務すれば10日の有給休暇を取得できます。
しかしNECグループでは、新入社員でもはじめから20日付与されます。
派遣労働者の場合、例えば3ヶ月単位で契約更新と言った場合もあると思いますが、
契約更新によって継続勤務で無くなると言うわけではありません。
やはり6ヶ月勤務していれば、休暇の権利は生ずることになります。
A付与日数
次に第2項では、付与日数を定めています。
付与日数は勤続年数に応じて増加します。
半年勤務の後、さらに1年勤務(通算で1年半勤務)した場合には、10日+1日=11日の有給休暇が付与されます。
2年なら+2日、3年なら+4日、4年で+6日、5年で+8日と増えて行き、6年勤務(通算で6年半勤務)で+10日、つまり20日の付与日数となります。
以降は毎年20日の付与となり、これが法定の最低付与日数の上限です。
NECグループでは、勤続5年未満が20日、5年以上15年未満が21日、16年以上が22日となっています。
B休暇時季の変更
有給休暇は、原則いつでも取得することが可能です。
これは、従業員の休暇を取得する権利自体は付与された時点ですでに発生していて、 従業員の休暇申請とは、その権利を何時使うかの申請であると解されているからです。
しかし、第39条の第4項には、次のように規定されています。
「使用者は、前3項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」
上記で「ただし」以降の部分を、使用者の休暇時季変更権と言います。
しかし事業の正常な運営を妨げると言っても、そのような事態が起きないよう処置を施すことが使用者には求められます。
単に業務繁忙を理由に休暇取得時季をずらすことは認められないとするのが一般的なようです。
なお、使用者は、従業員が休暇取得する日を変更させることは出来ますが、休暇取得そのものを拒否することはできません。
また、時季変更と言っても、取得日を具体的に指定することまでは出来ないとされています。
C一斉休暇(計画年休)
NECグループでは、夏に連続5日間の一斉休暇を定めています。
その運用方法は事業場によって異なっていますが、Aパターン(8月第1週)、Bパターン(8月第2週)、Zパターン(個別に設定)の選択式になっている事業場もあります。
この一斉休暇については、第39条の第5項で定められています。
「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、 前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。」
有給休暇は、従業員個人が取得時季を決められるのが原則です。
しかし、上記のように労働組合と会社が労使協定を取り交わせば、全従業員を対象とした休暇時季の指定が可能になります。(労使協定ですので、従業員個人に対して拘束力を持ちます。)
一見、自由が奪われるようですが、連続した長期休暇を個人で取得しようとする場合には、使用者の時季変更を受けやすいという事情がありますので、長期休暇を取得しやすくするための妥当な手段であると解釈した方がいいでしょう。
(2)その他の休暇制度
NECグループには、他にもさまざまな休暇制度があります。
以下に簡単に説明しますが、詳細について知りたい場合には、人事のホームページなどを参照してください。
@ファミリーフレンドリー休暇(有給)
一般に「多目的休暇」と呼ばれる制度です。
次の目的に対して使用することができます。
・医療、看護(妊娠に伴う症状および不妊治療による場合を含む)
・配偶者の出産
・疾病予防
・家族の看護
・学校行事への参加
・ボランティア
付与日数は年間で5日、未消化分については翌年以降に繰り越されます。
最大で20日まで積み立てることが可能です。
申請には、上記の理由であることを証明するものが必要です。
Aリフレッシュ休暇(有給)
以前は勤続年数に応じて付与されたリフレッシュ休暇ですが、現在は満年齢に応じた付与となっています。
下記の日数を連続して取得可能です。
当然ですが、年次有給休暇とは別枠になっています。
・満30歳に到達した翌年度 ・・・ 5日
・満40歳 〃 ・・・ 7日
・満50歳 〃 ・・・ 10日
リフレッシュ休暇は法定外休暇ですので、次年度に繰り越すことはできません。
B産前産後休暇(無給)
NECグループでは、産前8週間(多胎妊娠の場合には14週間)、産後8週間の休暇を取得することが出来ます。
産前産後休暇は労働基準法の第65条に基づく法定休暇ですが、法律が産前6週間としているのに対し、NECグループでは産前8週間と、法律よりも上回る基準を適用しています。
なお、NECグループの産前産後休暇は無給ですが、NEC健康保険組合から85%の賃金補償があります。
C生理休暇(有給)
男性にはあまりなじみがありませんが、労働基準法の第68条に基づく法定の休暇です。
NECグループでは、第1日目に対し賃金の70%が、第2日目と3日目は60%が支払われます。
法的には無給でも構わないことになっていますが、他の大手電機では100%有給の会社もあります。
D妊娠通院休暇(有給)
妊娠のために通院する場合の休暇です。
賃金保障が70%なので、年次有給休暇やファミリーフレンドリー休暇の日数に余裕があれば、そちらから先に使うことが多いと思われます。
付与日数は、妊娠23週までが4週間に1日、24週から35週までは2週間に1日、36週から出産までは1週間に1日となっています。
ただし、32週以降は産前休暇が取得可能となっています。
E転任休暇(有給)
転居をともなう異動のために休暇を必要とする場合には、4日を限度に取得が可能です。
F結婚休暇(有給)
5日以内で取得できます。
(3)今後に向けて
以上見てきたようにNECグループの休暇制度は、法定の基準をかなり上回るという点で優れた制度だと言えます。
しかし問題は休暇消化率の低さでしょう。正確なデータはありませんが、一般には年次有給休暇の場合、付与日数の半分程度の消化率だと言われています。
2008年にNEC&関連労働者ネットワークが行った調査では、休暇取得日数が「ふた山分布」になっていることが確認できています。
平均では年間11.6日程度の消化であっても、5〜10日の人が全体の38%を占め、15〜22日が40%を占めていました。
休暇が取れない理由としては、「多忙」を上げる声が圧倒的に多かったのも特徴です。
法は、単に制度として日数を付与するだけでなく、取得しづらい事由を取り除くことも使用者に求めています。
休暇が取れない多忙な状況を改善することは、会社にとって当然の努力義務だと言えるでしょう。
それから、病気など不測の事態に備えて、休暇を残しておくという場合もあると思います。
これは、EU諸国では一般的な病気休暇制度が日本で普及していないために、年次有給休暇(またはファミリーフレンドリー休暇)で病気に対処しなくてはならないことに根本的な原因があるでしょう。
病気休暇制度の新設を望みます。
せっかく付与された有給休暇も、消化しないまま2年が経過すると、捨てることになります。
一旦権利として取得したものが消滅すると言うのもおかしな話ですが、この点については、他の法的解釈もあるようです。
(本来、休暇の申請は時季の指定であるから、年度の途中で時季指定を行わなかった場合、つまり休暇を取らなかった場合には、年度末が自動的に休暇となるという解釈など。)
また、「捨てる分を会社に買い取ってほしい」と言う話も時々聞きますが、これは39条に対する違反であるとされています。
しかし休暇を捨てるということは、多くの従業員にとって不本意なことでしょうから、 何らかの補償が必要と考えます。
ここはやはり何か別の休暇へ積み立てる制度の新設が適当ではないでしょうか。
前述の病気休暇制度を設けて、切捨て分の日数を積み立て可能とするか、またはファミリーフレンドリー休暇の上限20日を大幅に引き上げたうえで、ここに組み入れるなどの改善が考えられます。
他には、夏休みが取れなかったという話も、結構耳にします。
夏休みは労使協定によって定めた拘束力を持つ休暇であることに鑑みれば、少なくとも9月の末までには、必ず取得できることが求められるのではないでしょうか。
本人にとって不本意な場合もあるかと思いますが、期間中に取得できなかった場合、自動的に9月末の連続した5日が休暇になることまでを、協定で取り交わすようにしてはどうかと思います。 |